秋元市長が本学で講演 札幌市の将来展望を語る
札幌市長で本学卒業生でもある秋元克広氏が20日、「札幌市の地方創生」と題し本学学術交流会館で講演した(学士会・校友会エルム共催)。市長は人口などのデータを用いつつ、札幌市の目指す方向性について本学との取り組みなどにも触れながら紹介した。
鍵はブランド力
市長は札幌市の強みとして、地域ブランド調査などで常に上位に選ばれるブランド力を強調。これをいかに実経済に移すかが重要だと指摘した。一方、もう間もなく減少に転じるとみられる札幌市の人口や、生産年齢人口が減り老年人口が増える人口構成の変化など課題を明らかにした。
これらを踏まえ、市長は未来の札幌市の役割や姿についてのビジョンを紹介。雇用に繋げるため、ブランド力を高め地域経済力を伸ばすことが最重要だとした上で、福祉・教育施策により誰もが安心して暮らせる街を目指すとの方針を示した。また、これまでの取り組みとして、2003年にリニューアルした札幌駅ビルや10月に開館した札幌市民交流プラザ(さっぽろ創世スクエア内)などの再開発事業を例示したほか、これから行われる新幹線の札幌延伸についても言及。札幌延伸により、スキーリゾートとして人気が高まっているニセコと約30分、函館と約1時間で結ばれることで「人の流れが変わる」と期待を寄せた。このほかにも、札幌ドームが会場となるラグビーワールドカップ2019や東京オリンピックについて、「欧米の方々にも夏の北海道を知ってもらうチャンスだ」と話した。
胆振東部地震 札幌市の取り組みが奏功
札幌市内で初めて震度6弱を観測した胆振東部地震については、想定していない事が起きる時代だとの認識を示しつつ、1日でも早い復旧に向け取り組んでいるとした。また、地震後の大規模停電時に、札幌市が進めている再開発ビルの地下におけるエネルギーセンターの設置が役立った事も紹介。ガスなどで電気を生み出すコージェネレーションシステムが導入されており、停電時に充電スポットや外国人の避難場所として活用された。赤レンガテラスやアーバンネット札幌ビル、さっぽろ創世スクエアなどに設置されており、今後も再開発事業の中で進めていくという。
秋元氏は1979年、本学法学部卒業。同年に札幌市役所に入庁し、様々な部署を経て、2014年に退職、翌2015年に札幌市長選挙で当選した。今回の母校での講演について、「多くの人が集まる中、講演ができ大変嬉しく思っている」と話した。