えるむ歌壇【第9回】
春が立つ 木々の産毛の隙間から観音堂の丹色あざやか /三石路之 まだ誰もわたしを知らぬ街のなかしずかに揺れる夜のカーテン /衣井くう 夜の街 酔った女は魚に見える 俺のリールは優しさしかない /杉本太 言霊は燈火 物憂き … Read More
春が立つ 木々の産毛の隙間から観音堂の丹色あざやか /三石路之 まだ誰もわたしを知らぬ街のなかしずかに揺れる夜のカーテン /衣井くう 夜の街 酔った女は魚に見える 俺のリールは優しさしかない /杉本太 言霊は燈火 物憂き … Read More
優しさは繰り返すほど嘘になる きれいな虹の切れ端のあと /井嶋 南里 冷たさとしての葡萄を口にするうちに脱臼するのがわかる /朝凪 布衣 大空で大魚がいくらか餌探す揺蕩う吾はいずれ胃の中 /杉本 太 長編のあとがきをめく … Read More
リラ冷えに身体をさすれば6月が透明な夏を連れてくるはず /西 希 来て欲しいのか自粛して欲しいのか神のみぞ知る札幌まつり /吹風 佐梨 土踏まずを撫でてゆく水 やさしさで救えるものはあるのだろうか /東 … Read More
菓子パンの袋のふくらみ 春という季節のまるさにはじめて気づく /東出六花 段ボール 山積みになるぬるい部屋ガラスのコップで咲くクロッカス /平尾実唯 最大10連休 … Read More
爪先に袖に睫毛に乗っかって思い思いに溶けてゆく雪 /西希 海流のように春がやってきましたそれからというものみんなは卵で生まれ … Read More
エビチリにいじわるしても念入りに身支度をする新学期の朝/百瀬雪 祝日も神様も消えた世界で日はすこしずつ遠ざかってゆく/吹風佐梨 身長が180の宮田よりテレビ塔より高い秋かな/オーク・ライオット 手習いで覚えた指揮で合唱と … Read More