【特集】街頭調査「北大は公金投入に値するのか?」

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9月25日、東京大学は学費を10万円値上げすることを決定した。学費値上げが取り沙汰されるほど、国立大学の財政がひっ迫している。その中で、そもそも国立大学が有権者である国民から、公金を投入するにふさわしいと判断されているか否か、その理由が何かというのは、大きく関心を呼ぶ事柄である。

調査概要

これを受けて、北大新聞は特に北大が市民にどのような評価を受けているかを明らかにするため、9月13~15日にかけて、札幌駅前南口広場において街頭調査を行った。

総回答数は171件となった。回答数は満足とは言えない規模であり、年齢などにも一定の偏りがある。そのため、回答結果が指し示す割合などは、注意してみる必要がある。

それを踏まえて、この調査は、ある回答をした人が、ほかの設問でどのような回答をしたのか、どういう回答をする人が、「公金投入の意義」を感じるのかといった傾向をつかむため作成された。

質問内容は、①「北大への公金投入に意義を感じるか」、②「北大の地域貢献への実感」、③「北大生への好感の度合」、④「交付金の是非」の4つで、居住地や年齢、性別などの回答者の属性も尋ねた

回答結果

それぞれの質問への回答結果は以下のとおりである。

「北海道大学には、公金が投入されているが、納税者として、その意義を感じているか」については、「大いに感じる」が11.7%、「感じる」が49.7%、「あまり感じない」が16.4%、「感じない」が5.8%、「わからない」が16.4%である。

「北海道大学は、地域の発展に役立っていると思うか」については、「とてもそう思う」が32.2%、「そう思う」が57.3%、「あまりそう思わない」が2.9%、「思わない」が1.2%、「わからない」が6.4%である。

「北海道大学の学生に、好感を持つか。」については、「強く好感を持つ」が24%、「好感を持つ」が59.6%、「あまり持たない」が3.5%、「わからない」が12.9%で、「持たない」という回答はなかった。

「国立大学への交付金は、どうするべきだと思うか?」については、「増やすべきと思う」が60.2%で、「どちらでもない」が38.6%、「減らすべきと思う」が1.2%だった。

回答者の属性については、詳しい数値は詳報で記載するため割愛するが、結果は以下のグラフのとおりである。

何が、意義と結びつくのか

「地域貢献と公金投入の意義はどう関わっているか」については、北大が地域の発展に役立っていると思う人が、公金投入の意義を強く感じている傾向にあった。地域貢献をしているとで「思わない」「あまりそう思わない」「わからない」と答えた人のうち、公金投入の意義を「感じる」と答えた人の割合は39%であった。(大いに感じると答えた人は0だった。)それに対し、「そう思う」「とてもそう思う」と答えた人の場合では、64%であった。

地域貢献と意義

一方で、「北大生への好感と公金投入の意義がどう関わっているか」については、強い関係は見られなかった。好感を「あまり持たない」「わからない」と回答した人のうち、意義を「感じる」「大いに感じる」と答えた人の割合は、57%であったのに対し、「強く好感を持つ」「好感を持つ」と答えた人の場合は、62%であった。

好感と意義

今回の調査は、北大生への好感よりも、地域発展への貢献の方が、公金投入の意義認識に関わってくることが分かった。北大生が自覚ある行動をすることも重要だが、しっかりと実益を地域の皆様にお返しすることが重要であることを示唆する結果となった。

今回の調査結果が、統計学上どれだけ意味があるかについての検証は、詳報で行いたい。詳報は、10月中に公開予定である。(データセットもともに公開する予定)

*今回の調査では、当初RDD方式を採用した世論調査を実施する予定でしたが、固定電話がなく、部員も少数なことから今回は見送られました。北大新聞は、今後もこのような調査をより精度を高めてやっていきたいと考えております。もし、協力していただける方がおりましたら、望外の喜びです。

(取材:木本・品村・高野・辻川、執筆:辻川)