【受験特集:どんな道でも、道は道】第6回(1)誰のためかは自分で決める 2度目の受験と恩返し

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 不完全燃焼の冬と、決意の春


 総合型選抜で北大工学部に合格したことは、家族や教師・ごく限られた友人を除き、ほとんど誰にも言わなかった。かつてのクラスメイトでさえ、今も宗石さんの現況や経歴を知らない人は多いという。

 合格発表を受け突然受験生でなくなった宗石さんは、自宅では、両親と一緒に、新聞のクロスワードやナンプレで遊んでいたという。大学からの課題など週1回ほど勉強を行う。引退したバレーボール部の活動に参加することもあった。目標が潰え、暇を持て余すなかで、受験勉強を継続できる周りがうらやましいとさえ思う。それまでやってきたことが突然不要になった虚無感を抱え、くすぶった冬だった。


 大学に点数を提出するために受けた共通テストでは、8割近い点数を獲得。校内でそれより高得点の生徒はわずかだった。「申し訳なかった、そんなに勉強してないのに700点取っちゃって」と率直な気持ちをこぼす。

前述の通り、フロンティア入試で合格を得た以上、入学辞退はできない。だから、合格を手にした瞬間、もう一度大学受験に挑戦したいと思った。合否の結果は関係ない。「落ちてもいいかなと思った」。ただ、もう一度受けたかった。親は「自分で決めたことならいいんじゃない」と背中を押してくれた。




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