研究だけじゃない北大と知床のつながり 知床・斜里町×北大まるごと交流祭が開催

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8月30日、北海道大学オープンイノベーションハブエンレイソウで「知床・斜里×北大まるごと交流祭」(以下、交流祭)が行われた。北大の学生も運営に携わるこの催しは北海道大学創基150周年記念事業の一環。世界自然遺産の知床が位置する斜里町を広く学生に知ってもらうことを目的としている。

交流祭開催5日前からエンレイソウにて知床・斜里町の魅力を伝えるパネルや特産物の展示が行われた。交流祭では特産品を販売する「しれとこマルシェ」や新たな魅力の発見を目的とした「交流会」、斜里町の課題をもとに解決策を話し合う「リーダーゼミ」が行われ、本学の学生をはじめ教職員や斜里町役場の担当者だけでなく、様々な職種の人々が集まった。

しれとこマルシェの様子。知床のシンボルキャラクター「知床トコさん」をあしらったグッズが多く販売された

交流祭の主催者である広報・社会連携本部社会連携部門の中村健吾特任准教授は、交流祭の目的について「学生に知床・斜里町について知ってもらうため」と話す。中村准教授は研究分野での北大と知床・斜里町のつながりは強いことを踏まえ、「研究以外の新しいつながりやコミュニケーションの可能性を発見したい。また、学生に知床・斜里町のことを知ってもらい知名度を向上させることで、学生が知床・斜里町を訪れるという流れを作りたい」と語った。

昼過ぎから開催された「交流会」では、北大の学生をはじめ北大の教職員や斜里町役場の職員、会社員や飛び入り参加の地元住民など多種多様な人々が参加した。斜里町役場の政策推進課長である高橋誠司さんは人口減少などで地域経済や活力が衰退している斜里町の現状を踏まえ、「様々な関係者とつながることで魅力を伝えるだけでなく、斜里町が抱えている課題も伝えることでより密な交流をしていきたい。それとともに、これからを担う大学生が地方に興味を持つきっかけを作りたい」と北大との交流事業を行う意義について話す。

交流会の様子

交流会後には「地域経営×大学リーダーゼミ」が開かれた。斜里町が抱える、人口減少や観光船事故の風評被害からの脱却といった課題について、参加者がいくつかのグループに分かれて話し合い解決策を見出していく。ファシリテーターを務めた株式会社トビムシ代表の竹本吉輝さんはリーダーゼミについて「地域が抱える問題を解決しようとするとき、情報が整理しきれず結局なにもできていないという事例がある。その地域が何を守りたいのかを専門性のある人々と意見を交わし、客観的に話し合うことで解決につながっていく」と語った。

リーダーゼミの様子

森本来(らい)さん(理学部3年)は交流祭に参加した理由について「地方中心企業のサポートなど、地方創生に興味があった」と話す。地域の魅力を発信しようと活動する人々と対話交流ができるというのは学生にとっても貴重な機会といえるだろう。地域の活性化には、北大と地域が研究以上の関係を築いていくことが必要不可欠である。

7月にも上士幌町との間で行われた交流祭は、10月11日には東胆振地区、25日には北大の研究林が位置する和歌山県古座川町との開催が予定されている。地方創生に興味を持つ学生はぜひ参加をおすすめする。

(取材、撮影、執筆:安藤)