黒百合会「全国交流展」開催 全国の作家の作品が一堂に会する

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北大美術部黒百合会が企画する「北海道大学黒百合会全国交流展」が、6月4日から9日にかけて開催された。

 全国から作品が集められる”交流展”

今回の全国交流展は2度目の開催。「全国交流展」とは、「様々な学年・専攻の部員と全国の卒業生が共同する、新たな交流のための展覧会」だ。その名の通り、部員の作品と全国から郵送によって集められた卒業生の作品が、札幌のギャラリーで一堂に会する。作品の展示を通して、近しい年代の部員だけでなく、幅広い世代の卒業生との関わりを深め、交流を生み出すことが目的だという。

 札幌駅を出て北にまっすぐに進むと、通りに面した開放的なギャラリーが目に入る。ここが、今回の全国交流展の会場である。ギャラリー自体のファンも多く、外から様子を見て気軽に立ち寄りやすいことから、多くの市民に見てもらいやすい恰好の展示場所だ。主催者の三田尾有希子さん(文学院修士2年)は「北大生の活動を外部に発信し、市民の方々とも交流を深めるための最適なギャラリー」と語る。

 gallery ESSEの外観

様々な方法で表現される作品の数々

黒百合会の活動は、絵画を初め多岐に渡る。絵画曜会、立体・イラスト曜会、陶芸曜会、ハンドメイド曜会、シルクスクリーン曜会と、表現方法ごとに曜日を分けて会合が行われているため、様々な表現方法の作品が生み出される。今回の展覧会も、絵画のみならず、立体作品やハンドメイド作品など、多種多様な作品が展示されていた。

 展覧会の様子。壁に掛けられた絵画だけでなく、中央の机に立体作品なども置かれている。

竹中翔さん作「とける」

全国交流展の発案者であり、第1回の主催者である竹中翔さん(生命科学院卒)の作品は、デジタルで描かれた「とける」。不安定な線と構図を意識したペン画風の作品だ。

三田尾有希子さん作「よびごえ」

主催者の三田尾さんの作品は、アクリルで描かれた「よびごえ」。湖をイメージした幻想的な風景を描いている。

野津陽士さん作「dancer」

野津陽士さん(工学部2年)作の「dancer」は、ダンサーをモチーフにした作品。ファンタジーや非現実の要素を含む立体造形だ。

 今回の展示会では、作品展示だけでなく、作家たちを見に来た人に身近に感じてもらうための新たな取り組みにも力を入れたという。作家自身が書いた作家の紹介ボードを、作品の横に添えるというものだ。

紹介ボードには、展示されている作品に関することだけでなく、普段の研究内容や、生い立ちが詳しく書かれている。「作家の人となりを知ることで、面白さが伝わる展示になるよう工夫した」と三田尾さんは語る。

三田尾さんの作家紹介ボード

作家の人生経験や趣向は作品に直結するという。かえるが好きだという石川楓子さん(農学部卒)は、かえるをモチーフにしたシリーズ作品を制作し続けている。また、「ビーズのバレリーナ」の作者坂牧知紘さん(工学院卒)は、自身のバレエ経験に基づいてクラシックバレエをモチーフにした作品を数多く制作している。黒百合会の部員や卒業生たちは皆、好きなものを好きなままで終わらせずに、作品を通して自分がなぜ惹かれているのかを表現しているのだそうだ。

坂牧知紘さん作「ビーズのバレリーナ」

 「数年前の黒百合会には、コロナ禍の影響を受けるなどして、満足に企画展を実施することができない期間があった。情勢が変化し、今回このような開かれたギャラリーで展示ができることは、とても嬉しく、ありがたいことだと思う。」と三田尾さんは語る。今後については、「これからも様々な場所で多くの人に見てもらうための展示を行い、ただ作品を並べるだけではないような、来てくださった方を存分に楽しませられるような展示を目指したい」と意気込んだ。

 黒百合会の作家たちは皆、多様な表現方法を取り入れながら、活動の幅を徐々に広げていこうとしている。彼らは、研究や勉学に励む北大の学生や、社会で活躍する卒業生たちでありながら、多彩な作品を生み出す作家でもある。その面白さを感じ、作品から作家たちの人生を感じ取るために、ぜひ黒百合会の展示会に足を運んでみてはどうだろうか。

(取材:赤松・安藤、撮影・執筆:赤松)