さっぽろのまちをキャンパスに〜まちキャン〜

Pocket
LINEで送る

6月21日、令和6年度の「さっぽろまちキャンパス共創事業(以下、まちキャン)補助金に係る審査委員会」が開かれた。審査委員会には北大など、札幌市内にキャンパスを置く大学に所属する学生を中心とした団体、計14組が参加。札幌市役所の担当者などから構成される審査員団へ事業のプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションの結果を踏まえ、補助金が交付される10団体が決まる。開会直前、学生たちの顔には緊張や不安、同時に期待が表れていた。

参加者の顔には期待と不安が見える(6月21日)

まちキャンとは、学生主体の団体と札幌の地域団体が協力して行うまちづくり活動に補助金を交付する事業である。活動を援助することで、学生の札幌への関心や愛着を高め、地域の活性化を図ることを目的としている。「まちキャンパス」という言葉には、学生の学びや活動の場である「キャンパス」が、大学の枠を超えた「まち」にまで広がり、学生との交流から地域の人々も学びを得ることへの期待が込められている。

審査委員会では、各団体ごとに計15分の時間が与えられ、プレゼンテーションと質疑応答を行った。プレゼンテーションでは学生ならではの視点に立った柔軟な発想と独創的なアプローチが示された。例えば、札幌大学のキャリアデザインラボは学内カフェを活用した小学生の宿題支援を提案した。続く質疑応答では、審査員から補助金の使途や今後の展望についてなど、質問が数多く飛んだ。学生たちも、事業への自信がうかがえる説得力のある回答をしていた。審査員の一人、札幌市まちづくり政策局・政策企画部の猪瀬昌さん(公民・広域連携推進室・産学官連携担当係長)は、「どの団体のプレゼンテーションも、多様かつ独創的な点から札幌市への想いの深さを見せていてレベルの高いものだった。我々も、補助金以外にも様々な関わり方を模索し、ともに札幌を盛り上げていきたい」と語った。

プレゼンテーションの様子(左:北大森林研究会、右:NudgeU)

参加した学生の声:NudgeUの武田理熙(まさき)さん(工学部4年)は、「審査員とのやり取りから自分たちの中にあった懸念点が具体化された」と語った。NudgeUとは、小中学生向けのアントレプレナーシップ教育を提供する団体である。NudgeUの代表的な活動として、「チャレンジピッツァ」というワークショップがある。このワークショップは、ピザ屋の経営ゲームを通し子供たちの創造性と主体性を育て、問題解決の楽しさを伝えるものだ。武田さんは「浮き彫りになった懸念点については適宜修正を行いつつ活動していくつもりだ」と続けた。また、同団体の宮原雄太さん(工学院修士1年)は今後の展望について、「学業と並行して様々な活動を精力的に行う姿が子供たちの模範となるよう自分たちも成長していきたい」と意気込みを見せた。

「チャレンジピッツァ」の紹介をする宮原さん(左)と武田さん(右)

地域社会との関わりを通して見えてきた札幌の抱える社会課題。その解決策を学生たちが自ら考え実行する。そんな「まち」は、多くの人々が札幌についてより多くを学ぶ「キャンパス」になるだろう。その先に待つ今よりさらに魅力あふれる札幌への期待が高まる。

(取材・撮影:小田・加藤、執筆:加藤)