北大祭のお片付け~終わりゆく北大祭 「饗宴(うたげ)は、げに過ぎ易し」~

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高等教育推進機構(以下教養棟)の前には、北大応援団による最後のイベント「一万人の都ぞ弥生」に参加すべく人が集まった。都ぞ弥生は札幌キャンパス北側に位置する学生寮「恵迪寮」の寮歌として昭和40年に作られ、長らく親しまれた伝統ある楽曲である。校歌「永遠の幸(とこしえのさち)」を合唱して始まったプログラムは、時に笑いを伴いながら最後の歓声を響かせた。

「都ぞ弥生」の合唱まで全てのプログラムが終わると、唐突に学生が服を脱ぎ始めた。赤ふんどしを締めた男子の正体は恵迪寮の学生たち。「都ぞ弥生」の熱狂そのままに、教養棟前で学生が円を描きながら歌い回る通称”ストーム”が始まった。ストームを見るのが初めてという1年生や来場客は驚きの表情を見せるが、赤ふんどしの男たちに誘われ、踊り回る波に加わり始めた。

1年生からも、初めての北大祭を楽しんだという声が聞かれた。サークルの先輩に連れられて「都ぞ弥生」にやってきた小牧さん(総合教育部・1年)は「大学生らしい行事。応援団も非常に迫力があって楽しかった」と語る。ストームにも参加し、めったにない機会を満喫したという。「入学前に北大祭に来て、来年は出店する側になりたいと思っていたので感慨深い」と3日間を名残惜しそうに振り返った。

上:「一万人の都ぞ弥生」を告知する応援団の看板。「北大祭のフィナーレを飾る」との言葉が踊る
上右:曇り空の中、最後のイベントに集まった来場者と学生ら 
中:校歌「永遠の幸」を歌う応援団
下:赤ふんどしに混じって観客の学生も踊り始めた

また合唱に参加した中谷さん(水産学部・1年)は「自分たちで企画・運営したからかもしれないが、高校の学祭より自分たちが主役という意識を感じた。顔も名前も知らない人と、北大生という繋がりで祭りを作り上げる団結感が心地いい」と述べた。

早くも片づけが進む教養棟2階廊下

教養棟正面がにぎわう中でも、建物内では片づけが続いていた。明日朝には一限が待っている。原状復帰に目を光らせる事務局員が走り回る建物に「札幌農学校、蝦夷が島」というストームの歌詞が響く。

 北大祭の名残を惜しむようにストームは例年以上に続き、時刻は17時を回った。事務局員が時計を確認し始める。ストームが終わると三々五々に散り始めた来場客を札幌駅方面に流し始めると共に、フォークリフトを使った運搬の誘導を始めた。事務局員もまた、長きにわたり準備し続けた北大祭を惜しみつつも、無事終わらせることに専念していた。

鉄パイプを運搬するフォークリフト。事務局員は誘導に回った
ストームを終えた学生に呼びかけるレインコート姿の事務局員

17時半過ぎには来場客の姿も見えなくなった。雨が強まる予報を受けてゴミ分別や器具清掃が急ピッチで進められた。点検を受けたクラスから徐々に帰宅していく姿が見られる。片づけが終わり閑散としたメインストリートになるまでにはまだ少し時間がかかるが、静かにゆっくりと3日間の盛り上がりが幕を降ろした。

(取材・撮影・執筆:古谷)