北大発の市民団体、札幌のホームレスとともに24年―北海道の労働と福祉を考える会【下】
ホームレスの「となり」で
では、彼らはどうするのか。
「例えば、路上のおっちゃんと生活保護の申請に行ってみる。申請なんて、もちろんしたことないのに。専門家が聞いたら門前払いするような場合だったりするから役所の人にダメですって言われて、肩を落とした帰り道に泣き出しておっちゃんに慰められたりする。プロがやったら大問題だけど、学生だったらこれが許されるんだよ」
「炊き出しで、よく文句が出るんだけど。僕らってそういうことが言える関係で、単純に『支援する側』『される側』じゃない。あんまり言われるとこっちも精神的にくるからいいことばっかりじゃないけど、ホームレスの隣でってのは労福会っぽさかもしれない」
取材した「炊き出し」で、ある生活困窮者が「ここの炊き出しは『施しを与える』教会と違って居心地がいい」とも話していたのが印象的だった。
事務局長として活動する阿木爾(あむえる)さん(工学部4年)にも、話を聞いてみた。阿さんも、専門家ではないからこそできる支援の形があると話す。
「公的な援助ももらって活動してるプロの人たちは、税金も入ってる以上ホームレスに『そのままでいい』なんて絶対言えないから。『脱路上』してほしいと思って接すると、ホームレスにとってストレスになることも多いのよ。その辺、あくまで任意のボランティア団体の僕らはやっぱり接しやすい」
20年以上、毎週のようにホームレスと話し続けてきた。築いてきた信頼関係は、やはり強固だ。専門家ではないからこそできる支援の形が、そこにあった。