北大発の市民団体、札幌のホームレスとともに24年―北海道の労働と福祉を考える会【下】
地下鉄を降りて1限の講義へと急ぐ、その道にも。友達と過ごした楽しい休日の、帰り道にも。私たちが通り過ぎるその道に路上生活者がいることを、知っているだろうか。そして、札幌で暮らす彼らを、本学の授業をきっかけに発足した市民団体「北海道の労働と福祉を考える会」(以下、労福会)が20年以上支援し続けてきたことも。今回は、学生がホームレスを支援する意義を考える。専門家に比べればできることは少ないのに、活動に携わるのはどうしてか。
「ポスターが、一番イケてなかった」
北大生をはじめとする大学生が中心となって運営されている、労福会。学生たちは、どうして参加したのか。困っている人の支援がしたい人が多いのかと思って聞いてみると、代表の山内太郎さん(大学院教育学研究科博士後期課程中退)から意外な答えが返ってきた。
「札幌に本当にホームレスがいるのか、単純に興味がある人がほとんど。『労福会のポスターが文系8番教室前の掲示板に貼ってあった中で一番イケてなかったから来た』って人もいた」
興味本位でやってきたそんなボランティアの中から、実際にホームレスに会って「違和感」や「迷い」を覚える学生が現れるという。
「『知る』だけで終わっていいのか、って。専門家でもない自分が目の前の人を救おうなんて無理があるけど、なんなら卒業しちゃうけど。でも、放ってはおけない。じゃあ、どうしよう?ってなる」