北大発の市民団体、札幌のホームレスとともに24年―北海道の労働と福祉を考える会【上】
地下鉄を降りて1限の講義へと急ぐ、その道にも。友達と過ごした楽しい休日の、帰り道にも。私たちが通り過ぎるその道に路上生活者がいることを、知っているだろうか。そして、札幌で暮らす彼らを、本学の授業をきっかけに発足した市民団体「北海道の労働と福祉を考える会」(以下、労福会)が20年以上支援し続けてきたことも。今回は、札幌のホームレスとその支援の意義について考える。
そもそも、札幌にホームレスはいるのか
札幌に、ホームレスがいる。この事実に、実感がわかない読者も多いだろう。真冬には最低気温が摂氏マイナス10度を下回るこの町で、どうやって夜を過ごすのか。
だが、その存在は統計が示している。厚生労働省などが毎年冬に行う「ホームレスの実態に関する全国調査」によれば、札幌市内で生活しているホームレスは2023年1月時点でなんと30人。道内他市町村のホームレスと合わせた35人中26人が「駅舎」や「その他の施設」で確認されていた。「閉まった地下街の外の階段で寝ることもある」というのは、取材で出会ったあるホームレスの話だ。
そして、この統計も問題含みだ。調査が、冬に目視で行われている。つまり、冬の寒さを逃れて漫画喫茶などで夜を過ごす人々が「ホームレス」に数えられていないのだ。夏には外で寝ているはずの家を持たない一部の人々の存在を考慮すれば、実際にはもっと多くのホームレスがいると推測される。
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借金まみれで逃げ出した人へ手を差し伸べるのは、どうしてか
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