【受験特集:どんな道でも、道は道】第5回(4) おもろい成川は、どこにいてもおもろい成川や
「大学には、いろんな人がいる」そんな言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。だが、私たちはまだ「いろんな北大生」が北大生になった時の話を知らない。聞けそうで聞けない、在りし日のそんな話を取り上げるのが今回の特集「どんな道でも、道は道」だ。はたから見れば小さな、でもそばにいれば大きな選択にじっと耳を傾ければ、等身大の北大生が見えてくる。
キャンパスには、北大生に「なってしまった人」も意外に多い。今回の主人公、文学部2年の成川航斗さん(21)=京都・私立洛南高校卒業=は定まっていたはずの進路を外れた北大生だ。先輩や同級生と同じように合格できるだろう、そんな未来があっけなく打ち砕かれた。下に見てきた、そんな大学に来てしまった。成川さんは、どうやって前に進もうとしたのか。やりきれない気持ちのまま講義棟に通う過去の受験生が「北大生になっていく」、その過程を追った。
北大という街で、「おもろいことになんでも取り組む」
入学してから、「とにかく大学生として成長し続けたい」と思った成川さんは、サークル活動や専門・非専門にとらわれない勉強に精力的に取り組んでいる。「おもろいものになんでも取り組む」中で、人類学での問題意識に繋がる経験もあった。北大という「街」の住人は、学部もバックグラウンドも様々だ。多くのサークル・部活動が存在することや、グローバルリーダー養成プログラムである新渡戸カレッジを通じた留学の機会など、成川さんが興味を持った機会も多かった。
実際に、新渡戸カレッジが主催する国際インターンシップ(IIP)に参加し、ベトナムの佐川急便でインターンシップを行った。日本とは全く異なる環境で実際に業務に関わる中で、専門である人類学の問題意識、「リアルを知ること」を深めるきっかけがあったと話す。
ベトナムで生活することで、リアルを「五感」で知ることができたという。「ホーチミンの街にも、富裕層が住むような近代的な都市空間が、スラム街のような日本人の衛生観念からして“汚い”場所のすぐ横にある。格差が日本よりも身近に感じられることは印象的だった」と語った。また、ベトナムには現在日本をはじめとする多くの国が進出しているが、現地の人々を駐在する側がよく理解しようとしているか疑問に思う場面もあったという。