【受験特集:どんな道でも、道は道】第5回(1) おもろい成川は、どこにいてもおもろい成川や
「大学には、いろんな人がいる」そんな言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。だが、私たちはまだ「いろんな北大生」が北大生になった時の話を知らない。聞けそうで聞けない、在りし日のそんな話を取り上げるのが今回の特集「どんな道でも、道は道」だ。はたから見れば小さな、でもそばにいれば大きな選択にじっと耳を傾ければ、等身大の北大生が見えてくる。
キャンパスには、北大生に「なってしまった人」も意外に多い。今回の主人公、文学部2年の成川航斗さん(21)=京都・私立洛南高校卒業=は定まっていたはずの進路を外れた北大生だ。先輩や同級生と同じように合格できるだろう、そんな未来があっけなく打ち砕かれた。下に見てきた、そんな大学に来てしまった。成川さんは、どうやって前に進もうとしたのか。やりきれない気持ちのまま講義棟に通う過去の受験生が「北大生になっていく」、その過程を追った。
成川さんという面白い北大生がいる
入っているサークルの数を、よく覚えていない。成川さんのことだ。「おもろいこと」にどんどん挑戦する成川さんは、一週間でサークルへの出席回数が10回を超えることも。一方で、成川さんを講義室で見ない日はない。時間割を見せてもらうと、授業が一杯に並んでいた。専門の人類学の必修科目、学芸員と教員の免許の取得に向けた科目、さらに集中講義や履修登録していない聴講の科目を合わせると、2年生の1年間で計88単位も履修したことになる。平日には1限が開始される朝の8時45分から5限が終了する夕方の18時まで毎日授業を受けていた計算だ。
これほど活動的で勉強熱心な成川さんはどのような受験を経て北大で学んでいるのだろうか。