エルムの杜から旅立ち 卒業生ら4437人 ―2023年度卒業式
2023年度の学士・修士・専門職・博士学位記授与式(卒業式)が25・26日に行われ、12学部と現代日本学プログラム課程の学部生2423人、大学院生ら2014人がエルムの杜から旅立った。
札幌キャンパスの第一体育館では25日、水産学部を除く11学部と現代日本学プログラム課程の卒業式が行われ、2233人がキャンパスを巣立った。
去年までの入場制限が撤廃され、式典には多くの卒業生とその保護者らが詰めかけた。北海道大学交響楽団による演奏の他、北海道大学合唱団と参加者一同による寮歌「都ぞ弥生」の斉唱が行われ、卒業生らの門出を華やかに彩った。
宝金清博総長は告辞で、今回の卒業生の学年が「(コロナ禍と)完全に重な」り、この間「(ウクライナ情勢をはじめ)世界情勢は劇的に変化した」と振り返った。
生成系AIが世界に与える影響についても言及。「後世必ずや、世界の在り方の根幹を大きく変えた科学技術として振り返られるはずだ」と述べた。また、クラーク博士を挙げ「学びを続け、挑戦を続け、勇気をもって、この困難な時代を堂々と歩んでください」と卒業生らを激励した。
同日、第二体育館では修士・専門職・博士学位記授与式が行われ、水産科学院を除く修士1501人、専門職85人、博士329人の計1915人がキャンパスを巣立った。
また函館では、26日に学士・修士・博士学位記授与式が行われ、水産学部190人、水産科学院修士92人、同博士7人が函館キャンパスを巣立った。大学院水産科学研究院長・都木(たかぎ)靖彰教授は、函館キャンパスで盛んなフィールドでの教育や研究を振り返り、「北大の基本理念の一つである『実学の精神』に立ち返ってほしい」と語った。「(卒業後も)地に足をつけて、学び続けてほしい」とメッセージを送った。
卒業生の声
農学部を卒業した大塚蔵人(くろうど)さんは、「人とのリアルでの接触が難しかった大学1年生の時は辛かった」と語る一方で、「交響楽団で活動を続ける中で、良い友人と出会い充実した大学生活を送ることができた」と話した。卒業後は他大学で感染症やウイルスの研究に携わる予定で、「留学生と話す機会も多いので、英語の勉強も頑張りたい」と意気込んだ。
理学部を卒業した小野寺大輔さんは、「恵迪寮では世間よりも(コロナ禍の間)人との交流が盛んで、楽しかった」と話した。本学に応援団長を務めたことから、卒業後も「北大を代表する人間として、恥じない生き方をしたい」と抱負を語ってくれた。
医学部を卒業した立野涼仁(りょうじ)さんは、「(最近になって)コロナ禍が終わり落ち着いた雰囲気の中で卒業できた」と語り、医師として今後は「北海道の医療を支えていきたい」と抱負を述べた。立野さんの母親は、「無事に国家資格を取って、卒業してくれてホッとした」と話し、北大は「本人のやりたいことができる環境だった」と振り返った。
保健科学院を卒業した野村真希さんは、「(コロナの影響で)実習がなかったことが、かえって自分から複数の臨床の場でバイトする動機になった」と語った。卒業後は英語を習得するため、ワーキングホリデー制度を利用してオーストラリアに行くという。「良い環境で、良い教員に出会うことができた」と語った。
現代日本学プログラム課程を卒業したAishah Swinneyさんは、4年半を北大で過ごし、日本語と政治学や経済学を学んだという。「授業がオンラインから対面に変わってからは、多くの日本人や留学生と対話できて楽しかった」という。卒業後はスコットランドの大学院の修士課程に進み、「北大での経験を今後も大切にしたい」と語った。
(取材・撮影・執筆:高野)