【解説】北大前総長の解任取消訴訟、いったい何が争われたのか
争点は、非違行為の存在と解任手続の正当性
争点② 解任手続は正当だったのか
名和氏側は、解任手続の公平性・透明性を批判した。訴状によれば、総長選考会議の調査においては、名和氏からの事情聴取が一切行われずにパワハラ行為の認定が行われたという。名和氏には具体的にどの行為が調査されているのかさえ伝えられないまま調査は終結しており、名和氏側はこうした点も問題視した。
また、裁判における証人尋問では新事実が判明した。解任の是非を議論する総長選考会議の場に当時の副学長・理事が計3人出席していた、というのだ。学外の委員による中立的な決定が求められる総長選考会議に本学執行部の関係者が出席することは異例であり、こうした不適切な審議に基づく解任の決定は不当だと名和氏側は主張した。
一方、本学・国側は手続きが学内の各種規程に則ったものだと主張。適法性を根拠に、解任手続に問題はないとした。また、当時の対応にあたった笠原正典元副学長は、以前「多数の被害者のプライバシーを守るため、個々の事案については説明できない」と本紙の取材に答えている。