【受験特集:どんな道でも、道は道】 第3回(4) 勉強だけがすべてじゃないけど、受験勉強するといい 黒川滉太さん(文学部2年)
とはいえ、予備校時代を振り返る黒川さんの口から出てきた言葉は、その多くが志望校判定や点数の推移について語るものだった。黒川さんの浪人生活に、2年目はないのだ。当初は京都大学を目指していたものの、合格への確実性を優先するため夏の終わりに志望校を大阪大学へと変更した。
「記述が書けずに京大オープンでD判、浪人生だったら見込みは薄いでしょ。答えが分かってても、答案で伝えるための言葉が頭の中に足りてない気がした」
「友達には恵まれてたからストレスためてる実感もなかったんやけど、年明けに一瞬だけ原因不明で予備校に行けなくなった。共通テストも1年目やったし、後で考えたら近づいてきた本番にビビっとったんかもな」
共通テストは模擬試験のようにリラックスして受験できた、と黒川さんは話したが、初の実施となった共通テストでは受験者の平均点が関係各所の予想を大きく上回った。つまり、試験時に感じた手ごたえに比べれば各大学に合格する実際の可能性は低いことがわかったのだ。共通テスト終了後に全体傾向を踏まえ、黒川さんは第一志望を本学へと再び変更した。
「志望校を2回下げることについては、意外と抵抗感なかったな。ちょっとでもいい大学に行けたらそれで、って思ってたから」
「そもそも、おれが現役の時の第一志望って北大だったでしょ。北大は憧れの女やなかったけど、ずっと一緒の幼なじみみたいな感じやったな。秋には北大オープン受けてたし、過去問も見てたから対策は問題なかった」
そして、黒川さんはついに本学の総合文系入試に合格する。
「滑り止めの私立の個別試験に対策ゼロで行ったら不合格になって、ショックで併願校の過去問ばっかり解いてた時もあった。でも、結局は北大の二次の前に合格が一つももらえなかったから、北大入試直前の1週間くらいは浪人生活で一番勉強できなかった」
本学の二次試験には最悪の状態で臨んだが、意地を見せた数学の試験では満点をたたき出した。「人生で最高の出来やったな」と、黒川さん。
「逃げてるだけじゃ」と言われてから1年、受験勉強は逃げずにやりとげた。「幼なじみ」だった本学との縁も結んだ自身の浪人生活について、黒川さんは「まあ満足やな」と話した。
「合格したのももちろん嬉しいけど、それ以上に一つの努力を最後までやりきった満足感が大きいかな。別の大学に行きたいから頑張ってたわけだけど、それでもやっぱり苦しくても頑張ってみるのは大事だなって思った」