【受験特集:どんな道でも、道は道】 第3回(3) 勉強だけがすべてじゃないけど、受験勉強するといい 黒川滉太さん(文学部2年)
「大学に行く」と言って電話を切ったが、次の日からは講義棟ではなく図書館に通った。
「受験勉強するしかない、って思ったから中古の問題集を買って大学の図書館にこもった。授業のサボり方が尋常じゃないけど試験期間外でも図書館にいる、ってことでサークルの人には仮面浪人がほぼバレてたな」
「理系入試はさすがに間に合わんから、文転して英国社の3教科勉強してたな。『社』ってのは得意だった地理やけど地理使える私大の入試なんてほとんどないし、今考えたら計画性はゼロや」
期末試験など受験するはずはなく、2期連続でほとんど単位を取得しないことが確定した。ここでついに、黒川さんの両親がしぶしぶ譲歩したという。
「1年だけ時間をやる、と。何してもええから絶対に1年で結論を出せ、その代わり1年経ったらその後はもう何もさせんって言われた」
大学はやめずに休学する、ということで議論は決着。アルバイトでこっそりと資金を貯めていた黒川さんは、この1年を使って予備校に通うことにした。「2月の中旬に電話かけまくったから、どこ行っても変なヤツ扱いされたのよ。試験本番の直前に来年の予備校探してるやつなんて、普通はおらんでしょ」と、黒川さんは笑う。
受験勉強に戻るか、大学での勉強に戻るか。大学には戻らない、というより「戻れない」、そう感じた黒川さんがいよいよ北大受験に挑む話は、次章に譲りたい。黒川さんは「親の言ってたことも、最近ちょっと分かるようになってきた」とつぶやき、再受験に至った話を締めくくった。