潜入!恵迪寮 3年ぶりに一般公開実施

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装飾された寮の玄関(10月29日、恵迪寮玄関前)

本学の学生寮「恵迪寮(けいてきりょう)」(札幌市北区北18条西13丁目3番地)で10月29・30日、寮内の一般公開が行われた。寮に住む学生が部屋を装飾して飲食の提供やミニゲームを行ったり、演劇を披露したりして訪れた人々をもてなした。

恵迪寮は札幌農学校の寄宿舎として1905年に開設された。2度の建て替えを経て現在は本学の学生約360人が共同生活を送る。学生自治寮で、寮の管理・運営は恵迪寮自治会を中心に寮生自らが行っている。

寮内の祭「恵迪寮祭」は毎年秋に開催される。114回目となる今回は10月4日から約1か月にわたって相撲大会や寮歌の発表会などが行われた。寮内の一般公開も同祭の恒例だったが、近年は新型コロナウイルス感染症の影響で開催を断念。今回は3年ぶりの実施となった。

寮の壁には張り紙や落書きがびっしり(10月29日、恵迪寮B棟1階)

寮の玄関は海をテーマに装飾され、手作りの船や魚のようなキャラクターが並ぶ。事務室で受け付けを済ませた後は、寮内を自由に散策できる。パンフレットを頼りに張り紙や落書きだらけの廊下を進むと、一室から騒がしい声が。「居室にはいるときは『失礼します!』と大きな声で」との指示通り「失礼します」と言って恐る恐る入ると、寮生が温かく迎えてくれた。

当日は各部屋で様々な企画を実施して訪れた人をもてなす「部屋デコレーション」が行われた。100時間かけて作ったカレーを提供する「100時間カレー」や舞妓(まいこ)の格好をした寮生に教えられながら和菓子作りが体験できる「練り切り作り」など、寮生オリジナルのユニークな企画が盛りだくさんだ。

100時間カレーを食べる来場者。一般公開2日目の30日には124時間カレーにパワーアップしていた(10月29日、恵迪寮A棟3階)
練り切り作りの様子。「メメシス先生」と呼ばれる寮生(写真左)が来場者に作り方を教えている(10月29日、恵迪寮C棟3階)
白熱したイントロクイズ。記者も参加したが、瞬時に曲名を当てる寮生に歯が立たなかった(10月29日、恵迪寮C棟1階)

寮中央にある共用棟では、布を張ってステージを製作し、演劇「恵迪座」の公演や映画の上映などが行われた。演劇は約90分間、映画は約40分間の大作で、監督も役者もすべて寮生。客席は満員となり、公演後には笑いあり感動ありの作品に拍手が起こった。

演劇「あげぱんとシュークリーム」のフィナーレ。座長を務めた内田雄大さん(経済学部2年)は公演後、「一般の方がどんな反応をするか不安だったが、温かい方が多く安心した」と話した(10月29日、恵迪寮共用棟1階)

以前にも一般公開に参加したことがあるという60代の女性は「消毒やマスク着用などの制限があったが、実施できて良かった」と笑顔を見せた。同祭実行委員長の光行奏登さん(農学部2年)は「3年ぶりの実施で経験者が少なかった上、感染対策の方法など考えることが多かった」と振り返る。当日は、北大祭の感染対策を参考に、来場者の不織布マスク着用を徹底し、各部屋にはアルコール消毒液やパーテーションを置くなどした。

夏休み中から装飾などの準備を始めたが、実施日の朝にぎりぎり完成した企画もあったという。光行さんは「3年ぶりで人が集まるか不安だったが予想よりもたくさんの人が来てくれた。寮に一般の方がいる様子を見ることはなかなかないので新鮮」と話した。