北大で「注文に時間がかかるカフェ」が開店 吃音のある大学生や社会人が店員に
吃音(きつおん)がある人が接客をする「注文に時間のかかるカフェ」(以下 注カフェ)を発案した奥村安莉沙さん(30)が22日、本学の学術交流会館で注カフェを開店した。当日は吃音がある大学生や社会人が、1日限定でカフェ店員として接客した。
吃音とは
吃音とは言葉を円滑に話せない発話障害。症状は3つで、「おおおはよう」のように音を繰り返す「連発」や、「おーはよう」のように音を伸ばす「伸発」、「…おはよう」のように言葉を出せずに間が空いてしまう「難発」がある。吃音のある人は日本に約120万人いるといわれているが、まだまだ世間の認知度は低い。
SDGsランキングきっかけに北大で開店
自身も吃音がある奥村さんは、今までに東京都や三重県、兵庫県など全国各地で注カフェを開店してきた。その中で「北海道ではやらないの?」と言われることも。開店場所などを検討している時、THEインパクトランキング2022(注)で本学が総合ランキング10位になったことを知り、手紙を送って注カフェの開店を打診したという。
吃音のある大学生や社会人が接客
今回の注カフェには、本学から中島佑太さん(工学院2年)と山崎佑基さん(工学院2年)が店員として参加。中島さんは「吃音があるため接客業をするのは控えていたが、実際に接客をしてみたら自信がついた」とうれしそうに話した。また、中島さんから紹介を受けて参加した山崎さんは「飲食店で接客の経験があったので、ぜひとも手伝いたいなと思って参加した」と語った。
他大学の学生と社会人もカフェ店員として参加した。畑中日菜さん(酪農学園大4年)は、当日提供された「道産さつまいものスイートポテトドリンク」の試作を振り返り、「今回は秋の北海道で開店するので、さつまいもを使ったドリンクを作りたかった」と話した。また寺島渓さん(北海道吃音・失語症ネットワーク 理事)は当日の接客を「個人的に話すのが好きなので楽しかった。吃音を受け入れてくれる空間が新鮮に感じた」と振り返る。
吃音を知るきっかけになったと話す人も
注カフェは事前予約制だったものの、多くの人が訪れた。錦古里(にしきごり)大河さん(北海学園大4年)は「今回の企画に来て吃音を初めて知った」という。一方、吃音当事者や活動に関心のある人も多く訪れた。自身も吃音を持つ小瀬甘奈さん(22)は「吃音当事者とそうでない人がコミュニケーションをとることは大事だ」と話した。小学校の教員をしている小瀬さんは、自分が担当しているクラスの生徒に対して「先生の苦手なことはみんなで補っていこうね」と伝えているという。
(注)THEインパクトランキング2022
英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が、世界中の1406大学の取り組みをSDGs(持続可能な開発目標)の17項目別に評価。本学は総合ランキングで10位、「飢餓をゼロに」の項目で1位に輝いた。