学生生活や入試情報を発信 北大生ユーチューバー つばささん(法学部2年)
近年幅広い世代に普及した動画配信サイト、ユーチューブ。最近は、自ら動画を投稿する大学生も増えている。本学の山崎翼さん(法学部2年)も、1年前にユーチューブチャンネル「つばさ【北大生YouTuber】」を開設。週1回のペースで自身の学生生活や入試情報についての動画を投稿し、チャンネル登録者数は8月に700人を超えた。“北大生ユーチューバー”として活動するつばささんに、動画投稿を始めた理由や将来について聞いた。
「何かを頑張りたい」が北大進学・動画投稿開始のきっかけに
――ユーチューブはもともと好きだったのですか?
中学生のころからよく見ていました。当時はちょうどユーチューブ自体が盛り上がってきたころでした。2年生のときに携帯電話を買ってもらってからは、特にたくさん見るようになりましたね。
高校ではハンドボールを始めましたが、途中で辞めてしまいました。その後、何かを頑張りたいと思って、勉強に力を入れ始めました。だんだん成績が伸びてきて、3年生で北大を目指すことに。そんな時に北大生ユーチューバーの動画に出会ったんです。結局現役では落ちてしまいましたが、浪人していたときも、北大生ユーチューバーの動画が受験勉強のモチベーションになっていました。
――動画投稿を始めたきっかけを教えてください
1年浪人して北大に進学したのですが、北大を目指して2年間も頑張ってきたので、大学に入れば何かできるという漠然とした期待がありました。でも、実際は合格して何かが変わるわけではなかったし、コロナの影響もあって。理想とのギャップに打ちのめされて、勉強は最低限やればいいという感じで、サークルやアルバイトも周りがやっているから何となくやっていました。自分から何かやるわけではなくて、ずっと周りに流されていたんです。
ただ、周りには勉強も部活もしっかりやっている優秀な人がいっぱいいました。そういう中で、中学のときは部活、高校のときは勉強と一生懸命取り組んでいるものがあったのに、今は何も頑張っていないことに気づきました。それで何もしていない自分が嫌になったんです。
今までも動画投稿に興味はあったけど、周囲の反応が怖かったんです。それでも最初の一歩を踏み出せたのは、入学当初の「何もやっていない」焦りがあったからですね。1年生の6月に先輩の北大生ユーチューバーの方に相談をして、それから動画編集などの勉強を始め、8月に1本目の動画を投稿しました。
自身の大学生活や入試の体験談を動画で発信
――どんな動画を投稿していますか?
自分の大学生活に関する動画や北大の入試に関する動画が中心です。動画を通して、高校生や中学生に大学生活のイメージをつかんでほしいと思っています。たまにパロディー動画なども投稿しています。
――動画投稿をする中で大変なことはありますか?
まずは勉強との両立です。僕は学部別入試で入ったので1年の時にはあまり苦労しなかったのですが、進級して学期末テストが近くなるとちょっと勉強がまずいと思い始めました。法学部はテストの配点がとても高いんです。それで今年の7月はテスト勉強を優先して、動画を2本しか投稿できませんでした。
あとは、視聴者の方からのコメントで傷つくこともありましたね。今年の1月にショート動画(注1)を投稿したんですが、普段の動画より再生回数が大きく伸びた一方で、誹謗中傷コメントも何件かありました。その時は結構メンタルにきて、動画投稿をするのがつらくなりました。
――良かったこと、うれしかったことはありますか?
普通ではできない体験ができることだと思います。例えば、この取材をしてもらっているのもユーチューバーをやっているおかげです。
また、視聴者の方からのメッセージは励みになります。動画のコメントはもちろん、今年の北大祭で「受験のとき、つばささんの動画見てました」と話しかけてくれた方がいたんです。あれはちょっと特別でした。
今のところデメリットよりもメリットの方が圧倒的に大きくて、動画投稿を始めて本当に良かったと思っています。
ユーチューブは「北大生」の間だけ 卒業後は別の道へ
――今後の目標はありますか?
他の人の役に立つ動画をこれからも作っていきたいです。登録者数などの数字を追い求めるよりは、少しでも誰かの励みになったり役に立ったりする動画が作れればいいと思っています。そのためにも大学4年間は動画投稿を続けたいです。
――大学卒業後もユーチューブを続けようと思っていますか?
今のところ続けようとは思っていません。自分のチャンネルは「北大生」としてやるから意味があると思います。4年間でできる限りのことをやっていきたいです。
今まで将来の夢は決まっていなかったのですが、最近は家庭裁判所調査官(注3)という仕事に興味を持っています。そのために、公務員試験の勉強を始めようとしています。卒業したら、また別のことを頑張りたいです。
注1 ショート動画
最大60秒の動画を投稿・閲覧できるユーチューブのサービス、またはその動画。日本では2021年7月から利用できるようになった。短い時間で視聴できるため、通常の動画よりも再生回数が伸びやすい。
注2 サムネイル
ユーチューブでホーム画面などに動画が表示される際、タイトルとともに表示される画像。最初に視聴者の目に入る情報となるため、動画の内容を端的に表したものや印象的な場面を切り抜いたものが多い。
注3 家庭裁判所調査官
家庭裁判所や高等裁判所で裁判官を補助する職員。家庭内の紛争解決や少年の立ち直りに向けた調査活動を行う。