【解説】 出席率は向上、でも手放しでは喜べず ―コロナ禍の学生生活②

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今年4月、4年ごとの定期実施で2021年に行われた本学の学生生活実態調査の結果が公表された。一昨年に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降では初となる同調査で浮かび上がったのは、コロナ禍をきっかけに始まった学生生活の大きな変化に直面する北大生の姿だった。調査から見えてくる実態を、2回に分けて解説する。

第2回は、授業の出席率向上を取り上げる。感染流行をきっかけにオンライン授業は広く浸透し、自宅でパソコンに向かって講義を受ける学生の姿はもう日常と呼んでもいいだろう。「ピ逃げ」が死語となりつつある学生たちの現在の履修はいかなるものか、その実態をデータから垣間見ることができた。

授業への出席率は91.1%で、前回(2017年)・前々回(2013年)の値(85.6%→86.0%)から大きく改善した。改善は全学部でみられ、特に歯学部では10.4ポイント(83.8%→94.2%)、経済学部では9.4ポイント(78.9%→88.3%)それぞれ前回に比べて上昇した。自宅からでも出席可能なオンライン授業の導入などが、出席率の向上につながったようだ。

ただし、学習意欲を聞く質問では学習意欲が「高まっている」と答える学生が学年が上がるにつれ増加する一方で出席率は学年が上がるにつれ下がっており、学習意欲の高まりと出席率の向上とに相関を見出すことはできない。調査では明確なデータが確認できなかったが、コロナ禍により試験の実施が困難になったことで多くの授業で平常点の比率は増しているようだ。今回の出席率向上には、授業に「出たくなった」学生の姿ではなく「出るしかなくなった」学生の姿が表れている可能性がある。

また、一部の文系学部では出席率が極端に少ない学生の割合が増加した。出席率が30%未満の学生の割合は下図のようにそれぞれ増加し、特に法学部では6.0%もの学生が9割以上の授業に出席していない。今回の調査結果のみを用いてその原因を考察することは難しいが、出席率が二極化していることは確かだ。

図 一部文系学部における出席率が30%に満たない学部生の割合

※学生生活実態調査…本学学務部が4年に1回実施している調査。本学学⽣の⽣活実態や本学への期待・要望などを把握し、学⽣の⽀援体制の充実を図るための基礎資料を得ることや、⼊学前の学⽣への広報活動に活⽤することを⽬的とする。