【独自】北大モスクワオフィス所長の加藤教授 「北大の両国人構成員へのカウンセリングと支援を」 オフィスの日本人職員は帰国へ
本学ロシアモスクワオフィス所長の加藤博文教授はロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響に関して北海道大学新聞の取材に応じた。同オフィスの日本人職員を帰国させることを明らかにするとともに本学の両国人構成員への支援や国を越えた学生・研究者との繋がりの意義を強調した。
日本人職員は帰国、ロシア国内での留学セミナーは中止
外務省は7日、ロシアの危険レベルを引き上げ、首都モスクワも渡航中止勧告の対象に含まれた。これを受け、モスクワオフィスで勤務する日本人職員は帰国させ、札幌での業務に切り替える。
また加藤教授は業務への影響として、準備が進められていたロシア国内での留学セミナーを中止したことも明らかにした。その上で「少なくとも日ロ間の友好に寄与するための事業を主催することはできない」とした。一方で日本政府はロシアからの留学生の受け入れを停止していないことから、留学希望者への情報提供は引き続き行うことを考えているという。ただ、国際線は運航をほぼ停止しており「次年度の留学生の入国は実質的に難しくなる」とみる。
「両国人構成員への支援を」「大学のような組織が繋がりを維持していかなければ」
今、必要な対応として加藤教授は本学のウクライナ人・ロシア人構成員への細やかなカウンセリングと支援を挙げる。ウクライナ人については「祖国で起きていることに希望を打ち砕かれ、心理的にも日常生活を送ることが難しいだろう」と指摘。
ロシア人については「遠く離れた祖国が戦争を起こし、これからの自分を取り巻く生活環境への負の影響に怯え、困惑しているかもしれない」とする一方、「世界各地でこの戦争に反対し、ロシア政府を批判する声をあげているロシア人の個人がいる。彼らも支援の必要な対象であると思う。これは国家の犯罪と学ぶ権利を分けて考えるためだ」とした。
加えて、ロシア国内で軍事侵攻に反対し政府を批判している研究者や学生との「繋がりを維持し、そのメッセージを受け取ること」の必要性にも言及。「難しい状況であるからこそ、大学のような組織が繋がりを維持していかなければならない」。
【※8日・情報追加】ロシア全土への渡航中止勧告(一部地域は退避勧告継続)を受けた日本人職員の退避などについて、一部情報を追加しました。危険情報については外務省海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2022T027.html#ad-image-0)の情報を参照しています。