北大、老朽化した石山通の跨道橋を撤去 ―設置から49年
本学は農学部地区と札幌研究林の札幌試験地を結ぶ石山通の跨道橋を撤去する。撤去工事は10月20日と25日の夜間から翌朝にかけて、石山通を通行止めにして行う。跨道橋は石山通の整備によって分断されたキャンパスを結ぶために建設され、49年が経過。老朽化が進み、維持管理や耐震化に巨額の費用がかかることなどから撤去を決めた。また橋の撤去に関するアートプロジェクトも同時に進行する。
跨道橋は札幌圏都市計画道路新設工事の一環として1972年に設置。計画道路によって分断されたキャンパスを結ぶために建設された。長さは116m、幅3.8mで自動車と歩行者が通行できた。橋は常時通行可能だったものの、関係者以外は立ち入らないよう看板を設置している状態だった。現在はすでに工事が始まっており通行できない。
橋は設置から今年で49年が経過し老朽化が進行。維持するためには、現行の耐震基準に合致するよう橋柱の耐震化に加えて、地震発生時に橋が落下しないよう落橋防止の措置をとる必要がある。しかし、橋を残した場合の維持管理費用も含め巨額になるため、それよりも安価で済む撤去に踏み切ったという。また、石山通が災害時に避難・救助・物資供給のため消防や警察、自衛隊などが使用する重要な道路として第一次緊急輸送道路に指定されていることもあり、万が一橋が崩落した際の社会的責任の大きさなども撤去理由の一つとなった。
橋の解体は10月20日と25日の午後10時から翌朝6時にかけて実施。橋の東側と西側に超大型クレーンを設置し、橋げたを二分割して吊り上げて撤去する。この時間、石山通は北7条西10丁目交差点から北11条西13丁目交差点まで通行できず、迂回が必要となる(=図1)。
橋の撤去後、東西の往来は国際食資源学院北側の道路から石山通を横断し、インターナショナルハウス敷地内の道路を使って行う。跨道橋の代替経路の確保のため、インターナショナルハウス地区から札幌試験地の管理棟へ抜けられるよう、2020年度に道路を延長しており、これを使用する。また本学施設部によると、跨道橋まで続いていた東西地区双方の道路については、東側(農学部地区)は実験林としての活用や、管理用の道路の整備が検討されているという。西側の石山通と接続する部分(=図2)は経路を変更し、今まで道路があった部分は敷地の有効利用が模索されている。
また今回、橋の撤去に関連するアートプロジェクトも同時に進行する。主催は本学CoSTEP(高等教育推進機構・科学技術コミュニケーション教育研究部門)。市民から跨道橋に関する思い出を集める企画や、撤去のため伐採した木を使って椅子をつくった地元の家具作家らと研究者とのトークイベントなどを行う。