名和前総長、北大と国を提訴へ 解任取り消しと損害賠償求める —総長解任
6月末に本学総長から解任された処分には証拠開示が不十分な状態での意見陳述など手続き的な問題があるなどとして、名和豊春前総長が10日、文部科学相による解任の取り消しと、本学と国に対し計約1500万円(予定)の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こすことがわかった。弁護団によると、国立大学の学長解任についての訴訟は初めて。
名和氏は過度な叱責(しっせき)などの非違行為計30件を本学の総長選考会議により認定され、同会議の解任申し出を受けた文科相に解任されていた。弁護団は、解任の手続きを巡り、同会議が設置した調査委員会が名和氏への聴取を行っていないほか、同会議で名和氏の意見陳述があったものの、被害者がとった録音テープを同氏が聞いていないなど証拠に十分に接していない状態での陳述だったといった問題があると主張。「同会議において『意見陳述』の機会が与えられたと認められない」としている。
また、同会議が認め、文科省が事実確認した名和氏の非違行為や発言について、弁護団は認定されたものはいずれも「そもそも事実がないか、発言があったとしても文脈を読むとハラスメントには当たらない」と主張する。
一方の本学はこれまで、名和氏側の主張に反論してきている。調査委が名和氏に聴取していないことは事実と認めた上で「調査を進めていくうちに、名和氏に確認するまでもなく、複数の関係者に対する面談調査、書面調査、関係資料により事実認定が可能と判断した」(7月)としている。名和氏側の主張と対立しており、裁判の一つの争点になるとみられる。
本学は訴訟について「詳細については承知していない」としている。