「1、2段高い覚悟でやる」 あす北大総長就任の宝金氏が決意 新型コロナなどすぐ対応 —インタビュー

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写真は北海道大学総務企画部広報課提供

10月1日付で本学総長に就任する宝金清博氏が25日、北海道大学新聞のインタビューに応じ、総長解任のあった本学の状況は「平時とは違う」との認識を示した上で「全力を挙げて取り組む。平時の覚悟の1、2段高いレベルでやっていく」と決意を語った。すぐに取り掛かる課題としては新型コロナウイルスへの対応のほか、前執行部からの引継ぎ、不動産運用などの経営の取り組みを挙げた。

喫緊の課題の一つ、新型コロナについては本学でも教育や研究へ大きな影響が生じている。宝金氏は「教員や学生の困っている状況を把握し、大学として必要な教育がきちんとできる状態にしたい」と話した。3月に本学が立ち上げた新型コロナ対策本部を継続するとの方針も示した。

コロナ下の授業を巡っては2学期でも全面的にオンラインを導入する学部があるなど影響が残っている。「今後もずっとオンラインでも大丈夫なことはあり、全部を対面に戻さなくても」との認識を示した一方、「可能なところから対面の教育にどこかで相当戻さないといけないと思う」とも述べた。実習など対面でする必要のあるものがあるほか、オンラインで可能かどうか以前に「(オンラインでは)学生さんが大学に来た感覚とかやりがいがない」ためだ。

前執行部からは「色々な良い事業はきちんと引き継ぐ」とした。

宝金氏が総長選で打ち出した経営改善策「経営的収入」にもすぐに取り掛かる。不動産運用や投資などに注力。こうした経営改善の取り組みについては「歴代の執行部も努力してきたが具体的に立ち上がっていないものが多い」といい「これを強力に進めるのが私の仕事だ」と語った。

本学では6月末に前総長が非違行為を理由に解任されている。再発防止のため、この1年間をめどに大学憲章やガバナンス・コードといった行動規範を定め、「しっかりルールを設ける」と話した。

宝金氏は総長選で、世界最高水準の教育研究が見込まれるとして文部科学相が指定する「指定国立大学法人」申請を公約した。本学では3つの要件のうち外部資金などの「社会との連携」が不十分で申請できていなかった。要件は5年平均のため「(要件を満たすまで)2年ぐらいかかるのでは」との認識を示した。また、「指定国立は教育研究、ガバナンス、社会貢献の全てで高いレベルを求められている」と述べた上で「そうしたことを積み重ねないといけない。大学が力強さを増すよい機会だ」と指摘。「文句なしの指定国立にならないといけない」と強調した。

国際交流は新型コロナで落ち込んだが「今後、大きな反動がある」と予想。担当の理事を作るなど取り組む。

本学の敷地内薬局の運営事業候補者選定で審査の不透明性が指摘されていることを巡り、今後は「社会から透明性や公平性で疑義が出ないような体制を作る」と述べた。

宝金氏の座右の銘は「Work works for us」で、訳すと「仕事をすることでその人は磨かれる」。宝金氏はもともと脳神経外科医で「手術はしないと上手くならない」と振り返る。これからの5年間あまりは総長職が「ワーク」だ。「(総長の仕事で)自分自身は磨かれるし、それによって北大にさらに大きな貢献ができるのではないか」と語った。