外出自粛中の健康悪化4割 一方改善1割も ―北大新聞独自アンケート③
新型コロナの影響によるオンライン授業や課外活動の制限で、北大生の生活は大きく変化した。本学教育学研究院の山仲勇二郎准教授の監修のもと、北大新聞のアンケートでは、外出自粛による生活リズムの変化などについても調査を実施。山仲准教授の分析によると、健康の度合い(健康度)が下がった学生は37%に上った。同准教授は「運動習慣を維持することや、生活リズムが夜型化しないよう外出自粛前の生活リズムを維持することが重要だ」と話す。分析は、山仲准教授の調査と北大新聞の調査を合算して行った。(アンケートの概要・生活全般については第1回、オンライン授業については第2回にて)
外出自粛前と自粛中それぞれの健康度について5段階で聞いた。外出自粛前に比べ自粛中の健康度が低下した学生は全体の37%(142人)、変化が無かった学生が53%(207人)、向上した学生が10%(39人)だった。健康度の変化を運動・睡眠・食習慣の変化と比較したところ、外出自粛前に「運動日数が多い」、「1日あたりの運動時間が長い」、「睡眠の質が良い」など健康的な生活を送っていた学生ほど健康度が低下するという結果となった。
健康度が改善した学生については、外出自粛前に比べて起床時刻は変わらない一方で就寝時刻と夕食時刻が早くなっていたことが分かった。睡眠時間が長くなり、睡眠の質も改善しており、健康度の上昇につながったといえる。山仲准教授は変化の原因について、「具体的には分からないが、深夜のアルバイトなど就寝時刻が遅くなる生活習慣が外出自粛前にあったのではないか」と推測した。
健康度に変化がみられなかった学生については、健康度の悪化した学生と同じように夜型化や運動時間の減少の傾向が見られた。しかし、比較すると程度が小さく、また運動日数や夜食回数については外出自粛前と比べ変化がなかった。運動時間は減少したものの運動の機会が確保されたことで健康の維持につながった可能性があるという。
山仲准教授は今回の結果から、健康度が悪化した学生について「運動日数と運動時間の両方が減少したことが健康度の悪化に強く影響し、その他の要因として生活リズムの夜型化、睡眠の質低下、夜食回数の増加等が影響している可能性がある」と指摘。「長期的に見た場合、こうした生活が慢性化するとメタボリックシンドロームのリスクを高める可能性があるので通常の学生生活を送れるようになるまでに自身の生活リズムを取り戻してほしい」と改善を呼びかけた。
反対に、外出自粛により健康度が改善した学生に対しては「ふだんの生活リズムが健康に悪影響を与えていることが推測される。この機会を好機ととらえ、外出自粛解除後に健康度を再び低下させないよう自分の生活をもう一度見直してみては」とアドバイスした。
※**は統計的有意を示す。
※時刻に関する結果の横軸の単位は時