北大、国立大学間の相対評価厳しく 運営費交付金の傾斜配分向けの客観指標 —文科省
文部科学省は28日、会計マネジメントなど国立大学の実績を客観的な指標によって大学間で相対評価した結果を公表した。評価は今年度の運営費交付金=最後に用語解説=の一部を大学間で傾斜配分するために使われる。前年度より指標の数が増えた一方、本学ではプラス評価された指標が前年度と同じく一つにとどまるなど厳しい結果となった。
客観的指標による交付金の傾斜配分は文科省が2019年度から導入した仕組みで、今年度で2回目。19年度はなかった就職・進学状況といった教育の指標などを加え、指標数を6つほど増やして13にしたほか、傾斜配分率も85~115%と上下に5%拡張した。傾斜配分対象の運営費交付金は150億円増やして850億円で、交付金全体の8%程度にあたる規模となっている。
相対評価は国立大学を3類型で分けた枠組みのなかで行い、本学は「世界トップ大学と伍(ご)す」などとされる16大学間で比較された。今年度の本学の評価では、傾斜配分率が100%を超えて交付金額を押し上げたのが前年度と同じく「会計マネジメント改革推進状況」(110%)の一つのみだった。一方で、配分率が最も低い85%の指標が6つと、広島大学と並び最も多かった。これらには「ダイバーシティ環境醸成の状況」「常勤教員当たり経営資金獲得実績」などがあった。
本学を含む16大学の枠組みのみが対象の指標である「運営費交付金等コスト当たりTOP10%論文数」でも85%で前年度の95%より下がった。この指標は、被引用数が上位10%に入る論文数を運営費交付金と科研費などで割り、コスト当たりの本数を算出したもの。トップは今年度も東京工業大学(115%)だった。
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文部科学省は同日、各大学がビジョンに基づき定めた戦略の進捗状況についての評価結果も公表した。この評価は、各大学が運営費交付金の一定額を拠出したものなど約250億円を再配分するために使われる。本学は再配分率が100%と前年度より1.4ポイント上がった。道内企業との共同研究数などで評価が最高だった。
運営費交付金=国立大学法人に対して国が業務運営のために支出する。本学では2018年度で393億円が交付され、収入全体の約4割を占めていた。今回の評価はこの運営費交付金の一部を傾斜配分させるために行われた。