「デリバリー・テイクアウトをより身近に」 苦境の飲食店を北大生らがオンラインで支援 -おうちでごはん札幌
新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境に直面している札幌の飲食店をテイクアウトやデリバリーの利用促進で助けようと、本学の有志学生らがSNSや特設のウェブサイトで支援に乗り出した。
インスタグラムで飲食店の情報発信をサポート
スイーツからイタリアンまで、多種多様な料理や飲み物などの画像が並ぶ。北大生らが運営する「おうちでごはん札幌」のインスタグラムだ。テイクアウトなどで自宅でも楽しめるメニューを紹介している。
この取り組みを行っているのは、村上武志さん(医学部医学科6年)や留学生ら本学学生9人を主要メンバーとする学生団体・ScanEat(スキャンイート)プロジェクトの有志。様々な背景を持つ外国人観光客や市内在住の留学生にも安心して食事をしてもらうことを目的に、同団体では飲食店の協力のもと、昨年12月からスマートフォンアプリの開発を行っていた。しかし今年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店を取り巻く状況が急激に悪化。札幌を訪れる外国人観光客の減少に加えて地域住民にも外出自粛の動きが広がり、協力先の飲食店から「余裕がない」「経営が苦しい」などと切実な声が聞かれるようになった。
村上さんらはこの状況を踏まえて「膨大な情報を魅力的に整理し、デリバリーやテイクアウトをより身近に伝えたい」と、4月下旬にインスタグラムアカウントを開設。飲食店の投稿をリポスト(再投稿)する形で情報発信を始めた。市内の20~30代女性を中心に急速に支持を集め、開設から1カ月でフォロワー数は1000人を超えた。
注文者の目線を重視したウェブサイト
店舗や商品のイメージを視覚的に訴えかけることが可能なインスタグラムに加え、利用者の好みに合わせて注文までできる独自の媒体を提供しようと、5月中旬には同名のウェブサイトを開設。掲載店舗数の拡大や機能改善への取り組みが続く。
同サイトでは「がっつり1人でご飯」「家族で贅沢」など、注文者がその時の気分に合わせてメニューを選択できるよう工夫。店舗の問題解決と注文しやすさの両立を目指す。利用者へのアンケート調査で寄せられた要望を飲食店側に伝えるなど、「双方向のやりとりを重視している」という。「テイクアウトでこんな体験もできる」と感じてもらいたいと、一品料理やご飯ものに限らずデザートのみでも掲載を行うなど柔軟に対応。感染拡大の次なる「波」が懸念される中、村上さんは「コロナに影響されない資金繰りを支援できるよう、責任感を持ってやっていきたい」と意気込んだ。
おうちでごはん札幌では飲食店からの掲載希望を募っている。同サイトのURLは、https://www.ouchidegohan-sapporo.com/。