流行初期の陽性者数が流行状況を反映していない可能性 北大・大森准教授 —新型コロナ
新型コロナウイルス感染症の流行初期に検査で陽性とされた人数が、流行状況を反映していない可能性がある――。こうした研究成果を本学人獣共通感染症リサーチセンターの大森亮介准教授らの研究グループがまとめた。
研究グループは、米ジョンズ・ホプキンス大学が提供する日本の累積陽性者数を2月15日~3月11日のデータで分析した。その結果、3月5日ごろまでは流行初期に一般的にみられる指数関数的な上昇となっておらず、直線的に増えていることを突き止めた。それ以降は指数関数の方があてはまるとしている。
研究グループはまた、厚生労働省の資料から検査数も調べ、陽性者数が指数関数的な増加に変わったのとほぼ同じタイミングで増えていることもわかった。検査数に限りがあったため新規陽性者数が一定になり、流行状況を捉えられなかった可能性がある。5日ごろ以降は指数関数的に陽性者数が推移しており、大森准教授は「検査数の増加が流行状況を捉えることに繋がった」とみる。
流行初期の感染者数の推移がわかれば、新型コロナの伝播力の推定ができ、今後の予測のほか、ワクチンの必要量の把握などにも繋がる。大森准教授は「(伝播力推定のために)陽性者数のデータを使う時はバイアスがあることに注意して利用する必要がある」と話す。また、陽性者数以外に、発症日を基にしたデータなども合わせて利用することを提唱している。