日立と北大で大学院生に年520万円支給 博士向け奨学金制度新設 来年度から
日立製作所と本学は4日、博士課程の大学院生対象の給付型奨学金制度を来年度から創設することで合意した。学生1人につき年間520万円を両者で負担して支給する。全国で博士課程への進学率が下がるなか、金銭面で支援して産業、学術で活躍する人材の育成を後押しする。日立が大学と共同して奨学金制度を設けるのは初めて。
博士課程に進学する学生から3人程度ずつ3年間、募集していく予定で、最大9人を採用する。1人あたり年間で日立が400万円、本学が120万円の計520万円を用意。このうち240万円を生活費、280万円を旅費などの研究費に充ててもらう。環境問題の解決につながる幅広い技術などを研究する学生が対象で、書類や面談によって選考する。申込スケジュールなどは今後つめる。
博士課程への進学率は全国で減少傾向にあり、科学技術・学術政策研究所によると、博士号取得者数は2016年度で1万5040人と08年度から1700人ほど減った。博士進学がためらわれる要因の一つに経済的負担の問題があるとみられ、日立の担当者は「より学生が勉強に専念できる環境を作りたい」と話す。
本学研究推進部によると、本学でも進学率は下がっているといい、今回は日立側が奨学金を提案した。
日立と本学は03年に「組織的連携実施協定」を結び、16年には本学内に「日立北大ラボ」を開設。環境分野で共同研究をするなど連携を深めてきた。