中国で拘束の本学教授、解放 約2カ月ぶり帰国
中国の北京市で9月に中国国内法違反のため拘束された本学の男性教授が11月15日解放され、帰国した。本学によると、当該教授は法学研究科に所属する岩谷將(のぶ)教授(42)で専門は中国近現代史。日本政府を挙げて解放を求めていた。
岩谷教授は9月上旬、中国政府系シンクタンク、中国社会科学院近代史研究所の招へいで新千歳空港から出国し、中国を訪れた。
中国外務省の発表によれば、その後9月8日に滞在先のホテルで中国の国家機密に関わる資料が見つかり、中国当局により拘束された。当局の調べに対し、岩谷教授は過去にも国家機密を含む大量の資料を収集していたことを認め、刑法や反スパイ法に違反した容疑がかけられた。法律の規定により、中国当局は岩谷教授を訓戒するなどした上で解放した。日本外務省によれば健康状態に問題はないという。
安倍晋三首相をはじめ日本政府は中国に対して岩谷教授の解放をあらゆる機会を通じて働きかけてきた。反スパイ法違反に問われた外国人の2カ月あまりでの早期解放は異例とされる。本学は、「政府をはじめ、関係の皆様のご尽力に感謝申し上げる」とのコメントを出した。
学術交流の最中での拘束ということもあり、日本の中国研究者らも懸念を表明してきた。10月末には「新しい日中関係を考える研究者の会」が「日中間の学術交流に好ましからざる影響が立ち現れている」などとする声明を出していた。
岩谷教授は日中戦争など中国近現代史に精通しており、防衛省の付属機関、防衛研究所や外務省で勤務した経験もある。