受け身にならず、変化楽しんで ー北洋銀行 人事部・松浦宗(そう)さん【どうする? キャリア(就職特集)・企業インタビュー】(全文)

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北洋銀行の松浦宗さん

今年の就職特集「どうする? キャリア」では北洋銀行人事部の松浦宗(そう)さんに話を聞いた。

――北洋銀行への就職を希望する学生の印象は?

北海道に強い愛着を持ってくれている、という印象があります。北大生の中にも道外出身の学生が増加していますが、道内出身者は勿論、道外出身者でも北海道に興味や愛着を持ち当行で働くことを希望された学生には、北海道への並々ならぬ強い思いを感じます。当行の強みは、北海道で最大の顧客基盤を持ち、多量で質の高い道内経済の情報を得てお客様に還元できることです。北海道を活性化させたいという強い目的意識は、当行で働く原動力であり必要不可欠。地方銀行の行員としてお客さまに品質の高い情報や解決策を提案できるか否か、仕事で壁にぶつかったとき挫けずに乗り越えられるかは、そこに多かれ少なかれ掛かっていると思います。

――採用したい学生像は?

私の個人的見解も多く含まれていますが、当行としては以下の2つの対応力がある学生を採用したいのだと思います。

1つ目は環境、世の中への対応力です。金融業界は今、フィンテックに代表されるようなIT化が進み他業種の企業が参入するなど、過去の金融業界ではなくなってきています。今後もどんどん変わっていきます。昔であれば様々な意味での安定を求めて銀行で働きたいという学生は多かったと思いますが、現在では変化する周りの状況へ適応できる対応力や耐性がなければ、入行してからミスマッチを感じてしまう学生もいるかと思います。むしろ変化を楽しめる学生を採用したいです。

2つ目はお客様への対応力です。現在、銀行に求められる仕事やニーズは多様化しています。例えば、M&A(企業の合併・買収)を希望するお客様のお手伝いをしたり、海外進出を検討しているお客様には海外の情報を提供したり、相続手続きに悩んでいるお客様のお手伝いをする仕事もあります。銀行が提供できる解決策はますます幅広くなっており、それに合わせて日々行員は勉強しています。銀行の仕事はお客様のお金や経営に関する悩みに対して様々な解決策を提供することなのでお客様の求める様々なニーズに応える対応力も、行員には必要です。

――選考過程で見たいポイントは?

新卒採用はポテンシャル採用と言われています。当行の中核を担ってくれる人材を時間を掛け育成していくためのものなので、スキルでなくこれから磨いて何か伸びるものを持っているかを見極めています。粘り強さ、創意工夫する能力など何か一つあれば良いと思います。

そのために、これまでの人生経験で何を得て何をしてきたかを面接で深掘りして聞いています。結果も大事ですが、その結果を出すための工夫や苦労を自分の言葉で話せることの方が大事です。話す内容は部活動やサークル活動に関してではなく、例えば学問に励んだということでも見劣りすることはありません。目的意識があったのか、どのように困難を乗り越え、目的をどうやって達成したのか、などについて分厚く語れる話題であることが重要です。そこから学生のポテンシャルを見出しています。

――学生のうちに身に付けておくとよい能力、知識、資格などはありますか?

銀行業務には、資格取得のための勉強や大学で学問として学んだことと直結しない部分も多いです。学生には資格を取得するよりも先に述べたような人間らしさを磨いてほしいです。これからどの業界でも求められてくるものだと思います。

なので文系、理系を含め学部は採用に関係ありません。入行を希望される学生にも行員にも経済、法、商学部の出身者が多いですが、それらの学部の人は金融に興味を持つ機会が他学部生より多いためだと思います。例えば、今はシステム関係の学生を別枠で採用することはしていませんが、今後そのような人材が必要になってくる可能性は大いにあると思います。理系で学んだことを生かせるのではないかと考えて銀行への就職を希望される学生が増えているので、採用される理系の学生も増えています。私も元はその一人です。

――今の学生に足りないと思われる点は?

敢えて言うのであれば、能動性です。今の採用環境は学生優位の売り手市場なので、インターンシップなどのコンテンツを企業が数多く打ち出しています。そのため企業側も悪いのですが、受け身になって企業のイベントに出ただけで満足してしまっている学生が多いです。各種の就活イベントの直後に質問してくる学生が減っているのもそのためかもしれません。

学生には、今何を知り、身に付けるべきかを逆算し、目的をはっきりさせた上で出るイベントを選択してほしいです。目的を持っていない学生とは得られるものが全然違ってくると思います。目的を意識しているかはイベント中に様子を見ていると分かります。すごく積極的に参加していますし、「これを身に付けたい」というパワーを感じるからです。そのような学生は、採用担当の印象にも残ります。

――採用担当として心掛けていることはありますか?

まず、当たり前のことですが学生より当行のことを理解していることです。学生が一番接する存在である採用担当が自社のことに詳しくなければ落胆しますよね? なので、どんな質問にも答えられるよう当行内外での情報収集を欠かさないようにしています。

もう一つは、当行職員の中で今の学生を最も理解しているのは自分であると自信を持つことです。私は担当者という立場ですので、私が作成した諸計画、例えば、インターンシップの実施などは上司の承認を得て初めて実行に移すことができます。上司は私よりも年上です。私よりも学生と年齢差のある上司が現在の学生の就活事情を正確に把握しているとは限りません。上司に今の学生像を伝え、理解してもらうためにも、担当者である私がしっかりと学生の思いに耳を傾けるように心掛けています。就活をしていると多かれ少なかれストレスを感じる場面があると思いますが、「この時期にはこんなイベントを開催して欲しい」などの本音に寄り添うことで、なるべく円滑に就活を進めてもらえればという思いで日々仕事をしています。

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