本学学生チームが学内で活動報告 ーハルトプライズ地域予選で日本勢初優勝のアクアモウ

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世界最大級の学生起業コンペ大会「ハルトプライズ」で日本勢初となる地域予選優勝を果たし、英国でのアクセラレータプログラムに出場した本学の学生チームAQUAMOU(アクアモウ)が12日、本学理学部大講堂で報告会を開いた。会では同チームのこれまでの取り組みや今後の事業化への展望の報告に加え、先に実施されたクラウドファンディング(CF)の収支報告などが行われた。

再現プレゼンテーションを行うアクアモウのメンバーら

淡水魚の養殖ビジネスを提案し地域予選で優勝

アクアモウはナイジェリア出身のリーダー、チュク・イフェアニーさん(水産科学院修士2年)ら4人で構成されている。同チームは学内大会やオンラインでの選考を突破した後、今年4月に東京で行われた地域予選に出場。約50チームを押さえ日本勢初優勝を成し遂げ、英国・ロンドンで行われるアクセラレータプログラムへの切符を手にした。

ハルトプライズで同チームが提案したのはアフリカ原産の淡水魚であるティラピアの養殖ビジネス。今回のテーマである若者の失業問題に対して、アフリカのナイジェリアに焦点を当て食料不足の問題と結びつけて解決に挑んだ。太陽光をエネルギー源とする水槽と、昆虫を使ったエサ、成長速度の速いオスのみを効率よく養殖できるようにする「パワーフィッシュ」と呼ばれる本学が開発した技術の3つを主に組み合わせた。ティラピアの供給増と、養殖・加工・エサの製造など各過程での雇用創出を目指している。

英国やナイジェリアでの取り組みを報告 ビジネス実現に向け今後も活動を継続へ

7月から先月にかけて英国で行われたアクセラレータプログラムでは、専門家からの助言も交えつつ、チーム内の役割の明確化や具体的な事業展開の検討などを行い、プレゼンテーションにも磨きをかけた。また同プログラムの期間中、一部メンバーはナイジェリアに渡航。日本大使館で現地についての情報交換を行ったほか、現地の団体とパートナーシップを締結した。ナイジェリアでは今後の事業化に向けた先行プロジェクトも始まっている。アクセラレータプログラムでは国連本部で行われる世界本戦に出場する6チームの選抜も行われ、アクアモウは惜しくも本戦出場を逃した。

今後は事業体としてナイジェリア政府への登録申請や、土地の購入、実行チームの組織など、計画の実行に向けた具体的な取り組みが本格化する。他のビジネスコンテストへの出場を通じて資金集めにも継続的に取り組んでいくという。一方、チームリーダーのチュクさんは「(人員の確保など)チームがナイジェリアで実際にプロジェクトを進めて行くことの難しさを感じた」とコメント。新たな協力者も募りつつ、今後も取り組みを続けていくという。

活動報告を行うアクアモウのメンバーら

会場からは敗退要因についての質問も

続いて行われた質疑応答では、アクセラレータプログラムでの取り組みなどについて来場者との活発な意見交換がなされた。世界本戦への出場を逃した要因について尋ねられると、英国に渡航するまでの間のチーム内でのコミュニケーション不足や、他のチームが既に事業化を果たしている状況で遅れをとったことなどだとメンバーらは指摘。他の出場チームと比べての優位性についての質問に対しては、養殖についての専門的なノウハウを有していたこと、他のチームよりも多くの分野の問題解決を掲げたことなどを挙げた。

会では英国への渡航に先立って募った寄付金の収支報告も行われた。CFで寄せられたのは125万5200円。加えて本学東京同窓会と校友会エルムから合わせて15万円、合計で140万5200円が集まった。寄付金の6割以上が英国やナイジェリアへの渡航費に活用され、先行プロジェクトの実施や、活動報告のための小冊子の作成などの資金にも充てられた。

次の100年へ、挑戦の輪の広がりに期待

チームリーダーのチュクさんは自身の今後の取り組みについて、「日本で100年前に先人たちが努力したように、自分も食料問題や若者の雇用問題の解決に向け、100年後のナイジェリアの人々のために精一杯力を尽くしたい」と意気込みを語った。

ハルトプライズ本学運営委員会では次回学内大会への出場者を募集している。アクアモウに引き続いて社会課題の解決に向け、行動を起こす学生が本学から出てくるか注目される。

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