過去に一度消えていた 中央ローンの川【編集部ブログ】
皆さんこんにちは。北海道大学新聞編集部のNRです。
平成最後の年の瀬、いかがお過ごしでしょうか。私は実家がある大阪府に帰省しています。大阪は「水の都」と呼ばれるほど河川・その支流の数が多く、どの川がどこを流れているのか、私たち府民にもさっぱり分かりません。「え、これ何川?」「淀川やろ。知らんけど」と今日も友人と川を前にして、こんな会話をしてきました。
ということで、本日は本学構内を流れるサクシュコトニ川について、お話ししたいと思います。
「サクシュコトニ川」という名を耳にしたことがなくても、「中央ローンを流れている川」という言葉でピンとくる方もいるのではないでしょうか。本学の正門付近には、中央ローンと呼ばれる芝生区域があります。芝生の中を流れており、カラスが行水する様子や、園児たちが飛び石の上を渡って遊ぶ姿がよく見られる川が、サクシュコトニ川です。
サクシュコトニ川は、中央ローン南西端から流れ始める仕様の人口河川ですが、元は本学植物園のあたりを水源とし、現在北7条西7丁目に残っている偕楽園緑地から流れ出る小川と合流して北大に注ぐ自然河川でした。しかし札幌市の都市化に伴って地下水位が低下し、水源が枯渇した結果、1951年川は消滅してしまいました。現在ある姿は2004年5月に復元されたものであり、中央ローンを出た後は北大マルシェのある百年記念会館やエルムトンネルの近辺を流れ、琴似川と合流した後に新川へと続いていきます。自然河川であった頃のサクシュコトニ川では、サケの産卵も行われていました。
現在の川の生態系については、あまり調査が進んでいないそうです。確かに鳥のつがいが群れているところは度々見かけても、魚が泳ぐところは見たことがないな、と個人的には感じています。
何気なく「綺麗だな」と思っていた自然の景色が、実は人間の手で最近造られたものだと知った時は、驚きと同時に何か寂しいような気持ちになりました。自然豊かと言われる北海道でも、やはり失われるものはあったのだなあと、川を見て感じる今日この頃です。