革新的コンセプトカーの展示会開催 本学構内での試走も
薄くて強い革新的な新素材「しなやかなタフポリマー」を使ったコンセプトカー「I toP(アイトップ)」の展示会が16~18日の3日間、本学総合博物館前で行われた。17日には、報道関係者向けの試走会を中央ローン周辺で開催。試走会の前には、本学の名和豊春総長と、「しなやかなタフポリマー」の実現プログラムのマネージャーを務める伊藤耕三・東京大教授による挨拶があった。その中で名和総長は「全国でI toPの展示会が開催される中、本学では唯一、報道関係者が試乗できるイベントを開催することができて嬉しく思う」、伊藤教授は「今までにないポリマーによるコンセプトカーを、乗って、体感してもらいたい」と述べた。
コンセプトカーの名称「I toP」は「Iron to Polymer(鉄からポリマーへ)」の略称。従来の自動車や航空機などの素材として使われている金属に代わって、伊藤教授らが開発した「薄くても破れない」、「硬くてももろくない」という特徴を持つ「しなやかなタフポリマー」を多く使っている。この新素材は、自動車を始めとする輸送機器に活用することで、軽量性・機能性・安全性などを飛躍的に向上させる可能性を有しているという。電気自動車である本コンセプトカーの乗車定員は3人。重量はおよそ850キログラムと、従来の自動車に比べ約38%の軽量化を実現した。新素材を使った本コンセプトカーの製作によって、実用的で安全な未来車のプロトタイプ(原型)を提示する。
コンセプトカーのタイヤには、本学先端生命科学研究院の龔剣萍(グン・チェンピン)教授の研究も取り入れられた。同教授らが提唱してきた「ダブルネットワーク構造」を用いることで、本来相反するタイヤの高強度化と低燃費化を同時に実現できたという。展示されたコンセプトカーを前に同教授は、「基礎研究が実社会に役立つことはとてもうれしい」と話した。