全体で捉えないで、自分の事情を心配して -キャリアセンター 高橋智さん【どうする? キャリア(就職特集)】(全文)

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今回の特集では、毎年多くの学生が不安を抱える就職・キャリアについて取り上げる。

近年の就職事情は売り手市場とされてはいるが、なお内定が得られず就職浪人となる学生も多い。また、経団連は定めていた「就活ルール」を2020卒の採用から廃止し、企業の採用活動に積極的には関与しない方向性を表明した。学生に不安と混乱が渦巻く現状は今年も変わらない。この状況を北大生はどう戦えばいいのだろうか。本紙ではキャリアセンターの高橋智さんに話を聞いた。

―就活ルール廃止の影響は?

就活ルール廃止によって就活全体の構造が大きく変わることはないでしょう。就活ルールはあくまで基準であって、その基準に則って多くの企業は採用活動を行いますが、基準に従わない企業、業界もたくさん存在しています。例えば、メガバンクや総合商社は就活ルール通りですが、技術職やマスコミなどは2018卒においても早めに採用活動が始まったように、企業ごと、業界ごとに採用活動時期の特徴があります。その特徴は就活ルール廃止後も大きく変わることは考えにくいため、就活全体として多大な変化があるわけではないということです。しかし、影響もゼロではないでしょう。政府主導の基準が作られる見込みではありますが、今までの基準がなくなることによって学生側と企業側双方に混乱があったり、採用力の乏しい企業が例年以上に早く採用活動を始める可能性も高いでしょう。

―20卒に向けて

近年の就活市場は就活生が比較的に有利な売り手市場とされていますが、この言葉の意味を勘違いしてとらえている就活生が多いのではないでしょうか。売り手市場という言葉は有効求人倍率から見た全体の話であり、むしろ、いわゆる大企業の採用活動においてはこの言葉とは逆の傾向が見られるのが現状です。本学に限った話ではないですが、就活ガイダンスや公務員ガイダンスの参加者が3年生を中心に減っている現状もあります。売り手市場という言葉を勘違いして自らの希望する企業に簡単にいけると思い、就活に対する意識が低下しているのではないかということです。就活ルール廃止にしても売り手市場にしても全体の問題としてとらえるのではなく、自己の問題としてとらえることが重要で、今の就活生には危機感を持ってほしいと思います。現行の就活ルールでは10月に内定ということにはなっていますが、今年度の4月には内定相談がキャリアセンターに寄せられ、5月6月にピークを迎えているように現状も変化しています。昨年度、一昨年度の最初の内定相談がそれぞれ5月、6月であることと比較しても内定の早期化傾向が顕著に見られて、すでに3月の就活解禁と同時に選考が始まっている企業も少なくないことを示しているようです。公務員就職を目指す学生にとっても他人事ではなくて、昨年の国家公務員総合職の1次試験合格者の対策期間は平均7.5カ月で、逆算すると10月には対策を始めていたことになります。今、危機感を持って自己分析や業界研究を行い就活への意識を高めるために、具体的には冬インターンシップに参加してモチベーションを上げることや就活ガイダンスに参加して何をすべきか確認すること、業界研究や自己分析につながるESや履歴書を書いてみることなど嵐が来る前にできる準備はたくさんあります。

―21卒以降に向けて

3年生の就活意識の低下が見られる一方で、就活ガイダンスや公務員ガイダンスの参加者に占める1、2年生の割合が増えてきているという現象もあります。就活意識の高低で二極化が見られるという指摘もあり、まずは意識の低いサイドに回らないことが重要です。そのために当面の将来像を広く俯瞰して、その具体性を高めていくように動くことが大切になってきます。今日では1、2年生のみを対象にしたインターシップやガイダンスも多く存在しますし、意識を高めて将来像を具体的にできる環境は整っています。

※就活ルール 経団連が企業の採用活動に関して定めるルールで、企業説明会や採用面接の解禁日のほか、内定日を定めている。なお、守らなくても罰則はない。現行のルールでは3月に説明会、6月に面接、10月に内定をそれぞれ解禁することとなっている。

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