今冬の寒さ ジェット気流の動きが要因【北大教授に聞く】
今冬は平年より肌寒い気候が日本各地で続いた。特に西日本では、鳥取県倉吉市で観測史上1位の最低気温を記録するなど平成に入ってからは一番の寒さとなった。気象庁の地上気温データによると、今冬における気温は全国的に平年より低く、過去4年間でみても特に平年との差が目立つ。(図1)
本学理学研究院で気象学を専門としている稲津將教授によると、今年の厳冬の原因はジェット気流の動きにあるという。
ジェット気流とは上空に存在する強い空気の流れのことで、その北側には寒気(冷たい空気)が位置する。冬季には、日本の上空を南北2つのジェット気流が流れている。これらの気流は蛇行することがあり、今冬は北側のジェット気流がシベリア付近から強い寒気を日本にもたらすような軌道を描いた。
さらに「ラニーニャ現象」と呼ばれる太平洋の海水温変化が発生する事で南側のジェット気流の流れにも影響が生じ、こちらも日本に寒気を引き込んだ。これらの現象を要因として、今シーズンは西日本を中心に厳冬となった。
北海道は影響受けず
ジェット気流の動きによる厳冬に見舞われる地域が多い一方、北海道は影響を受けず平年並みの気温となった。ジェット気流の蛇行が北海道より西側で顕著であったことや、北海道が「ラニーニャ現象」による影響を受けにくいことが要因だ。
図2は「ラニーニャ現象」とそれと対をなす「エルニーニョ現象」が冬季にどれだけ地上気温へ影響を与えるかについての相関を示している。北海道などの北日本で相関が低くなっているが、これは両現象から影響を受けるジェット気流が北緯30度(屋久島付近)の辺りと比較的南にあり、北日本に与える効果が限定的であるためだ。このような要因が重なり北海道は平年並みの気温となった。